はじめにPlain_wht_Down.png

院の体外受精は加藤レディスクリニックの技術をベースに、さらに独自の工夫を織り込んでいます。
加藤レディスの技術(採卵、胚移植、胚の凍結融解)は非常に優れており、世間一般の体外受精とは一線を画しています。この辺の詳しい情報は加藤レディスのHPをご覧ください。

昔、加藤レディスには加藤修、寺元章吉という二人の天才医師がいました。このお二人が心血を注いで編み出したのが現在 加藤レディスで行われている体外受精です。これは一般に行われているそれとは全く違います。
某先生曰く「加藤レディスの体外受精は他と比べて5年進んでいる」… この発言は傲慢・高慢・驕慢・不遜・慢心極まりないものに聞こえるかもしれませんが とんでもない! かなり控えめな表現だとお考え下さい。
不肖、私に言わせていただくと「10年は進んでいる」でも まだまだ足りない、「他の病院は永久に加藤レディスには追いつけない」と言い切るのが正しいと思っています。


体外受精は一般の不妊症治療とは異なり、複数の技術(技術の具体的な内容は↓参照)からなる集合体です。どこかひとつでも低レベルが混じると妊娠率はガタ減りします。ですから全ての技術を均一かつ高レベルに保つ必要があります。
もう一つ体外受精で大事なことは、培養器・顕微鏡などの器材に良いものを使っているかどうかです。ここをケチると妊娠率は上がりません。

-----複数の技術とは-----
・(体外受精前に行う)検査
・排卵誘発
・採卵
・培養
・胚移植(ET)
・胚の凍結・融解
・黄体期管理(黄体ホルモンと卵胞ホルモン量のコントロール)
-------------------------
#上記の技術すべてをハイレベルにしなくてはダメ。そのためには医師・培養技師に それなりの腕(はっきり言うと才能)が必要
#培養器・顕微鏡などの器材の品質も大事


さて当院の体外受精のレベルですが、「採卵」「胚移植(ET)」に関しては当院よりもレベルの高い病院があります。
例えば先ほど名前を挙げた寺元先生(元 加藤レディス副院長、現在は新橋夢クリニック院長)の「採卵」「胚移植(ET)」は
世界一と言っていいレベルです。私ごとき凡人の比ではなく、比較自体が寺元先生に失礼に当たります。
しかし、もしも体外受精を個々の技術の集合体と考え、さらに培養器・顕微鏡などの機材の質も考慮するならば、
当院で行っている体外受精は世界のトップクラスに入るのではなかろうかと自負しています。

それでは当院の体外受精について説明していきます。

体外受精前に行う検査Plain_wht_Down.png

外受精は他の不妊症治療(例えば人工受精など)と違い、桁違いに妊娠させる力があります。
それだけすごい体外受精でも「ここが悪ければ妊娠しない」という急所がいくつかあります。
ですから体外受精を行う前にそこを検査して、悪い場合は治さなくてはいけません。もしもそのままにしておくと、
良質胚を戻しても妊娠しません。

具体例ですが、次のようなケースを多々 経験します。このことからも「前もっての検査」の必要性が分かるのではないでしょうか?

某有名病院で体外受精を受けたが妊娠しない。凍結胚盤胞が残っているが患者さんが見切り(?)をつけて当院に鞍替えした。
こちらで検査をしたら悪いところが見つかった(残念、これでは妊娠しない)。
こういう場合は当院でそこを治した後に前の病院に戻ってもらい、むこうで再度 凍結胚移植を受けてもらいます。
すると後日 患者さんから「妊娠した」という連絡をもらいます。



査内容については体外受精のガイダンスで詳しい話がありますが、ここでは「子宮内膜ポリープ」検査について述べます。
最初に注意です。「子宮内膜ポリープ」と似た響きの「子宮頸管ポリープ」という病気があります。しかしこれは違う病気で、特に悪さはしないので、治療せずにそのままで構いません。

さて子宮内膜ポリープの検査ですが、一般にはSonohysterography(↓参照)が行われます。しかしこれは簡易検査で見落としが生じるので、お勧めしません。正しい検査は子宮鏡(↓参照)です。

Sonohysterography:
子宮腔内に生理食塩水を入れポリープを目立ちやすい状態にして、超音波で検査する方法。
3次元像である内膜ポリープを2次元像である超音波画像で見ていくので、細かくスライスしてその断面を調べることになる。
したがってポリープを見落としやすい。
子宮鏡検査:
内視鏡で子宮内を覗く検査。3次元像をそのまま目で見るのでポリープを見落とさない。



子宮鏡は難しい検査だと考えている方(特にお医者さん)が多いのですが、子宮鏡のサイズ選択を間違えなければスイスイ行きます。
サイズ選択とは

・できるだけ「径の細い」子宮鏡を使う

ことです。
子宮鏡には「検査用」と「処置用」の2種類があります。前者は子宮腔内の状態を調べるためのもので径が細く、後者は子宮腔内の病変を治療するためのもので径が太く作られています。
よく「処置用を1本購入して、検査もそれで代用する」と考えるお医者さんがいるのですが、処置用は径が太いため検査が大変になります。
その結果

・時間がかかる
・子宮内がよく見えなかった
・患者さんが痛がった

となり、「子宮鏡は大変な検査」という誤った認識に陥ります。

私事で恐縮ですが、検査自体にかかる時間は易しいケースで5秒(消毒も含めると1分)、通常で10〜20秒、本当に難しいケース(子宮頸管が曲がりくねって、しかも途中に狭窄があったりするケース。私は年間約220例の子宮鏡を行いますが、このような難しいケースは年に5例ぐらい)で2〜4分ぐらいで終わります。麻酔は全く必要ありません。子宮鏡は外来で気楽に行える検査なのです。

さて径が細ければ細いほど良い子宮鏡ですが、一番細いものは独Storz社のものです(径2.6mm)。しかし価格が高く(他のメーカーの2倍、約200万円)、しかも残念なことに、今は製造中止で手に入りません。この精密機械を作れる職人がいなくなってしまったようです。
現在入手可能なもので一番細いのはオリンパスの細径内視鏡(径3.3mm)です。これでも楽に検査ができます。
今まで処置用を使って検査していたお医者さんはぜひオリンパスのこれを試して下さい。目からウロコが落ちる気がします。

誘発前に卵巣の状態を整えるPlain_wht_Down.png

ここでは専門的な話をします。「少しは難しいことも書かないと読者に軽く見られる」と著者が心配して、半分不純な動機混じりで書いています(ただし、内容自体は大事です)。
読んでも意味不明の時はスキップして下さい。

発剤を使って排卵誘発を行いHCG注射でLHトリガーを起こすと、その後しばらくの間 卵が不良になります。原因は誘発剤で中途まで成長した卵胞がHCGの影響で閉鎖卵胞に至らず、不完全閉鎖のまま卵巣に残り、それが後の卵胞発育に悪影響を与えるからです。day3に見られるbaseline cystはこの典型です。
このような場合は不完全閉鎖の卵胞をつぶし(GnRHa+中等量pillでつぶす)、その後に排卵誘発を行った方が妊娠率が上がります。

うひとつ。過去に排卵誘発を何回も行うと、antral-phaseのFSHパターンが壊れることがあります。そうなるとantral-phaseのfollicle成長がうまくいかず、卵の質が下がり、最終的に妊娠にならないケースが出てきます。
この場合はantral-phaseのFSHをコントロールして(↓注参照) antral follicleをきれいに成長をさせ、翌月排卵誘発を行います。

注:premarinを用いてFSHをコントロールする。
abcdefpremarinを服用すると血中E2が上昇し、それにしたがってFSHが低下する
abcこのメカニズムを使ってFSHをコントロールします。


この二点に気をつけると、妊娠率がだいぶ違ってきます。

採卵Plain_wht_Down.png

卵のやり方は二つあります。

  • (1)卵胞液を吸った後、卵胞内に培養液を注入して再度吸い(これをフラッシュと言います)、このフラッシュを何度か繰返す
  • (2)卵胞液を吸ってその1回で終わりにする

「採卵する」とは具体的に何をするのでしょう?
abc卵は卵胞液の中にプカプカ浮いています。
abcまず卵胞に針を刺して中の卵胞液を吸い取ります。するとそこに浮いている卵も一緒に吸い取られます。
abc次に吸い取った卵胞液を顕微鏡で覗き、中に混じっている卵を探しだしピックアップします。
これが採卵です。


(1)の意図は「確実に卵を採る」です。仮に卵胞液を中途半端に吸って卵を採り損ねても、その後のフラッシュで採りなおすという意味です。これがオーソドックスな方法で、世界中ほぼすべての病院が採用しています(多数派)。
(2)は1回の吸引に勝負をかけるやりかたで、「早く採卵を終わらせて患者さんの負担を少なくしよう」という意気込みが滲み出ています。加藤レディスクリニック考案の採卵法であり、何らかの意味で加藤レディスに関係している病院が採用しています(少数派)。

(1)の長所・短所

長所
卵が採れる確率が高い
短所
採卵時間が長い(フラッシュを行う分 時間がかかる)
太い針が必要(吸引と注入の2本の針を一つにまとめるので必然的に針が太くなる)
体外体内間で培養液の出入を繰返すので、感染が生じる危険性がある

(2)の長所・短所

長所
採卵時間が短い
細い針が使える
体内の卵胞液を体外へ吸い出すだけなので、感染が起きない
短所
確実に卵を採るには技術が必要



院は加藤レディスの体外受精を世襲しているので(2)を採用しています。確実に卵を採るには修練も必要ですが、コツもあります。

  • 針の先端を卵胞の中央に置くのではなく、卵胞の下の方(地面の床の方)に置く

体外受精の本には「針先は常に卵胞の中央に置く」と書かれていますが、重力の影響で卵はゆっくり下に沈んでいきます。採卵時、患者さんはベットに寝るので、卵も下に沈みます。ですから最初から針先を卵胞の下に位置させるのは理にかなっているのです。

実際の採卵ですがい針が使えるので痛み・出血がなく、フラッシュを行わないので短時間で終わります(卵が1個の場合 採卵時間は5〜10秒。消毒・麻酔を含めても5分程で終了)。採卵後30分休んで帰宅になります。


後に針の太さについて一言。針の太さは数字に "G" を付けて表現します。例えば 15G, 16Gという具合です。数字が小さいほど針は太くなるので、15Gと16Gでは前者(15G)の方が太い針です。

針の太さ.png

針が細いほど患者さんの受けるダメージは少なくなりますが、吸われる卵から見ると吸引時のダメージは逆に大きくなります。
当院は22Gの針を使っています。より細い23Gもあるのですが、細すぎて卵にダメージを与えるようです(卵細胞の周囲を被っている顆粒膜がはがれてしまう)。
患者さんのダメージと卵のダメージを天秤にかけると22Gがベストの太さではないかと考えています。

以下 執筆中。乞う御期待

完成までもう少しお待ち下さい