検査・治療の進め方
なかなか妊娠しない夫婦には必ず「悪いところ」があります。

もし悪いところがなければ妊娠するに決まっているのです

この「悪いところ」が不妊症を引き起こしている犯人なので、不妊症の診療は

  • まず検査で「悪いところ」を見つけ(複数個 見つかることもある)、次にその「悪いところ」すべてを治療で治す

という流れになります。つまり「最初に検査」を行い、「その後に治療」を行います。
すると最終的に

  • 治療をおこなって「悪いところ」がなくなった。後は何もしなくても妊娠する

これが不妊症治療のやり方です。

検査をせずに やみくもに治療を行っても、それが本当に適切な治療かどうかは分かりません。最初に検査を行えば的確な治療を選ぶことができます。
「悪いところが見つかったが、そこは今の医学では治すことができない」という場合もあります。その時は残念ですが「妊娠をあきらめる」しかありません



ステップアップ治療について
話が逸(そ)れますが、ここでステップアップ治療(stepping up therapy)について述べておきます。
ステップアップ治療は巷でよく行われますが、実は理論的に間違えている、良くない治療です。

そもそもステップアップ治療とは何かですが、最初に弱い治療を行い、それで妊娠しない時はレベルを上げてもう少し強い治療、それでもダメならばさらに強い治療…と、段階的に治療のレベルを上げるやり方です。
典型的なステップアップ治療は最初に「タイミング指導」を行います。次は「誘発剤を併用してのタイミング指導」。次は「人工受精」。それでも妊娠しなければ「体外受精」…と進んでいきます。

なぜこれがダメなのか? 皆さんはすでに理解しているはずです。
ステップアップ治療は「この治療はどうだろう? だめか。ではあちらはどうだろう? やはりだめか。それではこれは…」と、さしたる理由もなく ただ単に思いつきの治療を行っているだけであり、いわば「当たるも八卦、当たらぬも八卦」の運任せです。これでは妊娠しません。
不妊症治療は科学的・理論的な考えに基くものであり

  • きちんとした検査を行えば的確な治療が見つかり、その治療を行えば「悪いところ」がなくなるから必ず妊娠する

これが正しい考え方です。



検査・治療の進め方(続)
さて話を戻します。
ならば正しい治療の実現は簡単そうに思えますが、実はそうではありません。難関が潜んでいます。
「正しい不妊症治療」を行うには次の3点が必要なのですが、その3点全てを実践している病院がほとんどないのです。

  1. 必要な検査をすべて行えること。それもハイレベルで行えること。ハイレベルでないと検査結果が信用できない
  2. 検査結果を正しく解釈できる医師がいること
  3. すべての治療が行えること。それもハイレベルで行えること。レベルの高低で治り具合(妊娠率)が違う

皆さんの大事な仕事は、上記3点が実現できている病院を必死になって探すことです。もし運良く見つけ出せたならば、その時点で不妊症治療の9割は終わったと考えて間違いはありません。

(文責 菅生紳一郎)